600万円の債務について、再生手続きにより、120万円に減縮した事例
ご相談前 | ご相談後 | |
借金総額600万円→ | 120万円 | |
20代男性 | 毎月の返済額10万円超→ | 3.33万円 |
ご依頼の背景
借金総額 | 600万円 |
借金の理由 | 為替のFX取引、奨学金 |
借入先 | 消費者金融、信販、学生支援機構 |
依頼者は、大手の会社に勤務していたが、為替のFX取引にのめり込み、取引資金の調達や、信用取引で生じた損失を補填するために、消費者金融を利用したり、損失補填のために給与収入を充てたことによる生活資金の不足を、信販会社発行のクレジットカードを利用して食料品や、日用品を購入した後払いすることにより補うようになり、借金が膨らんでいった。FX取引による損失の増大にも歯止めがかからず、借金の増大により、返済の目処が立たなくなった。また、就職前の学費や、学生時代の生活費に充てるために、奨学金を利用していたが、その返済が、始まっており、FX取引が原因の借金と、奨学金の返済のため、家計が立ち行かなくなり、借金を整理するため、再生手続きを希望され、弁護士に依頼した。債権者に対しては、一定の責任は果たしたいという思いもあり、また、借金の原因が、FX取引が大きな原因となっていたため、破産手続きによる免責許可を得ることができるかについても不安があったため、破産手続きではなく、再生手続きによる借金の整理を希望された。
弁護士の見通し
借入先の内訳を確認したところ、特定の債権者が、総債務額の過半数を超える債権残高を有しているという事情はないため、提出予定の再生計画案に対する反対意見が出ることは考えにくかった。また、債務者は単身者で、勤務先も大手の会社で、給与も安定していたため、再生手続きによる債務の減縮後の残高であれば、返済していける見込みは十分認められたため、再生計画に対する裁判所の認可決定を得ることは十分可能な状況と考えた。
サポートの流れ
単身者であったため、収入の裏付け資料としては、本人の給与明細書(直近3か月分)、源泉徴収票(直近2年分)を用意していただいた。
残高は少なかったが、複数の預金口座を開設されていたため、それぞれについて、直近1年分程度の通常取引の記帳履歴と、通常取引以外の定期預金等の取引欄の写しを裁判所に提出した。
生命保険に加入されており、これについて、保険証券の写しと、解約返戻金予定額の証明書を債務者から、保険会社に依頼して、発行してもらい、裁判所に提出した。解約返戻金予定額は、50万円以上あったが、他の資産とあわせても、100万円を上回るものではなく(総債務額の5分の1である120万円を上回るものでなかった)、自由財産に準じた最低弁済額の算出基準となる清算価値からの控除を求めるまでもなかった。
その他、給与明細書に控除項目として記載されていた損害保険料に該当する損害保険の証券の提出(解約返戻金はなし)、家計収支表の支出欄に記載されていたガソリン代がかかっている自動車の車検証の写し(所有名義人は、債務者の親族であったため、財産目録への記載は不要)、提出した通帳の通常取引の記帳内容の一部に合計記帳があったため、その取引明細を提出した。債権者一覧表の一部債権者について、立替金と借入金の2種類の取引があったため、その債権者については、契約種別ごとに枝番を付けて、取引内容と残高を、立替契約と金銭貸借契約とで、それぞれ分けて債権者一覧表に記載した。
単身者でもあり、家計上の収支については、比較的余裕があり、再生鉄続きによる減縮後の債務額であれば、原則である3年36回分割による返済額に相当する返済余力は家計収支表上も認められる状況であったため、返済期間については3年と設定した。
結果
本件は小規模個人再生手続きを利用した再生手続きの申立てをしたが、提出した再生計画案に対しては、債権者側から、反対意見がでることもなく、最終的に再生計画は裁判所により認可されるに至った。