住宅ローン以外の債務940万円を、再生手続きにより、188万円に減縮した事例
ご相談前 | ご相談後 | |
借金総額940万円 | 借金総額188万円 | |
40代女性 | 毎月の返済額12万円以上 | 3.13万円 |
ご依頼の背景
依頼者は、20年近く前にマンションを夫婦連帯債務で住宅ローンを組んで、2〜3年後に、外国の別荘マンションの利用権を数百万円で購入したものの、しばらくして、夫が転職し、その後も夫の転職が続くようになり、生活費が不安定となり、2人の子供の養育もあり、生活費の不足を借り入れで補うようになり、借金が増大していった。相談時点で、夫とは離婚する方向であったが、住宅が残したいとの意向で、住宅ローン特約を利用した個人再生手続きの利用を希望された。
弁護士の見通し
離婚する予定の夫も住宅ローン以外の債務を抱えており、夫が、依頼者とは別に債務整理に関する裁判手続きを取られた場合に、妻である依頼者の住宅ローン資金特別条項の利用や、効果に影響があるかどうかを依頼者が心配されていたが、住宅ローン特約による期限の猶予の効力は、連帯債務者にも及ぶ(民事再生法203条1項後段)とされており、依頼者の再生手続きによる住宅確保の目的は達成できると見込まれた。
サポートの流れ
債務者の所有資産のなかで、外国の別荘地の利用権の評価額の疎明が最も難しいと思われた。当該国には、日本の不動産登記のような制度は存在しないため、購入時に交付された購入契約書等の書類をもって、債務者の所有物件の特定や、夫との間の持ち分割合を特定するほかなかったが、書類自体が、英語で表記されているため、訳文を添付する必要があった。この点については、翻訳アプリを活用し、また、英語が達者な、大学生の子供に協力してもらい、訳文を用意した。また、外国には厳密に不動産の持ち分割合という考え方がなかったが、夫婦共同購入ということで、それぞれが、2分の1ずつの持ち分を有するのが自然であるという考え方により、債務者の持ち分を2分の1として財産目録に記載した。また、評価額については、同様類似の物件の売出し価格が掲載されているサイトの画面をプリントアウトし、類似の複数の物件の平均価格をもちいて、評価額を財産目録に記載した。時期的にもコロナ禍という事情もあり、評価額は、100万円の下回り、さらにその持ち分2分の1の評価額としては50万円を下回る状況であったため、再生手続きに基づく返済予定額(最低弁済額)に影響を与えるものではなかった。自宅マンションについても、評価額の査定を取得し、裁判所に提出したが、これも残被担保債権額を下回っており、余剰資産価値は認められなかった。その他、加入していた生命保険、医療保険等の解約返戻金の証明書を準備し、30万円前後の解約返戻金予定額があったが、これについては、自由財産に準じて、財産目録兼清算価値算出シート上の資産額としては計上しない扱いとした。別荘地の使用権の評価額はそのまま資産として計上することになったが、前記のとおり、50万円を下回り、他に、特段計上する資産もなかったため、最低弁済額には影響を与えるものではなかった。
住宅ローンの支払いを継続しながら、一般債権の弁済余力があることを裏付けるため、家計収支表には、債務者自身の給与収入のほかに、大学生の子供2人のアルバイト収入も計上し、家計全体として、再生計画案の履行の可能性が十分にあることを疎明した。
ただし、子供の学費負担も継続する見込みであるため、家計に余裕がないとして、返済期間は5年を希望した。
結果
以上のサポートの結果、一般債権について、5分の1に減縮する内容で、減縮後の債務を5年で支払う内容による再生計画案が認可され確定した。