570万円の債務について、再生手続きにより、5分の1に減縮した事例
ご相談前 | ご相談後 | |
債務総額570万円 | 114万円 | |
20代男性 | 毎月の支払額10万円 | 3.17万円 |
ご依頼の背景
借金総額 | 570万円 |
借金の理由 | 生活費 |
借入先 | 消費者金融、信販 |
依頼者は、安定した収入のある給与所得者であったが、仕事の人間関係のストレス等もあり、高価品の購入や、その他の遊興費の支出による生活費の不足を補うために、借り入れを増やしてしまった。また、依頼者は、親元を離れて暮らしていたが、親の収入が十分でないため、実家で生活している弟の学費等を一部援助しており、借金の増大を招き、借金の弁済が困難となった。
弁護士の見通し
依頼者が1人暮らしで、安定した収入のある給与所得者であることからすると、借金の増大に至った事情については、家計の管理不足、一部浪費と思われる事情も伺われたが、仕事の人間関係のストレスは発散するために、浪費に及んだという事情も伺われた。また、債務者は、今後の信用に対する影響も考え、今回、破産手続きではなく、再生手続きを選択することは強く希望されている状況であった。借入先は、10社前後あったが、1社のみが大口の債権を有しているという状況ではなく、再生計画案に対し、債権者の過半数の異議が出ることは考えにくく、再生計画の認可に至る見込みは、十分に認められた。
サポートの流れ
給与所得者の場合は、勤続期間が5年以上の場合は、退職金予定額を裏付ける書類の提出を求められるのが一般である(もっとも、5年未満の場合でも、裁判所の判断で、同様の裏付け書類の提出を指示されるケースもある)ところ、本件依頼者は、勤続5年以上であったため、退職金予定額の疎明資料が必要であった。これについては、依頼者が、勤務先とかけあて勤務先作成の正式な退職金予定額の証明書を取得されたので、これを、裁判所に提出した。退職金予定額については、通常、予定額の8分の1相当額が資産と判断されるところ、同相当額については、破産手続きの自由財産に準じて99万円の控除が認められるうちの10万円程度を控除枠として使用した。
その他、債務者は、勤務先の福利厚生制度として存在する団体保険等に複数加入しており、裁判所に提出した給与明細書上、保険料の控除額も、相応にあり、勤務先を通じて加入している保険の内容を明らかにする保険証券等の書類と、保険の解約返戻金の証明書の取得が必要になり、これらの書類は、逐一、勤務先の担当部署とやり取りして、用意する必要があったが、これについても、依頼者本人が、責任をもって対応され、書類の準備が整った。勤務先の取り扱っている積立金制度もあったが、これについても、債務者が、保険証券等の書類と同様に、勤務先と掛け合って、準備され、裁判所に提出した。
そのほかに、ローン支払済みの車両があったが、これについては破産手続きの自由財産に準じて、99万円の控除が認められるうちの、50万円程度を使用した。
結果として、債務者の資産の合計としては、総債務額の5分の1を上回るものではなく、総債務額の5分の1をもって再生計画に基づく返済総額と設定した。
なお、一部債権については、変更後の返済総額が1万円未満であったため、初回に一括して支払う内容の少額債権の定めを付した。
家計収支表の作成にあたっては、実家に対する援助金等の特別な支出項目もあり、繰越額が、預貯金残高と整合した内容であることを確認した。
再生積立金(試験積立)の履行も、お願いし、依頼者において確実に履行された。
結果
以上のサポートの結果、総債務額の5分の1相当額を36回3年分割で支払い内容の再生計画が認可されるに至った。