410万円の債務について、破産手続により免責許可を得た事例
ご相談前 | ご相談後 | |
借金総額410万円⇒ | 0万円 | |
30代男性 | 毎月の返済額8万円⇒ | 0万円 |
ご依頼の背景
依頼者は、医療関係の仕事に従事し、収入は安定していたものの、6年ほど前から、為替のFX取引(証拠金の25倍程度の取引が可能な取引)を始め、10か月ほどは、収入の範囲内で、取引ができていたが、10か月を過ぎた頃から、FX取引による損失を収入では穴埋めできなくなり、金融機関からの借入で補うようになった。さらに半年後には、子供が生まれ、それまで仕事をしていた妻が、働けなくなり、依頼者1人の収入で、家計をやりくりしなければならなくなり、それまでにFX取引による損失を穴埋めするための借金の返済もあったことから、借金の元利金の支払いのため、生活が厳しくなり、借入を増やさざるを得なくなった。2年後には、第2子も誕生し、さらに、生活が苦しくなり、その後の体調不良もあり、前職を退職し、その後、新しい仕事を探そうとしたが、すぐには仕事が見つからず、借金の清算をしなければ、生活の立て直しができない状況となり、破産手続きを取ることに決めた。
弁護士の見通し
借金総額 | 410万円 |
借金の理由 | FX取引 |
借入先 | 信販、消費者金融 |
債務者の借金の原因については、FX取引による損失が原因となっている部分があるが、FX取引をしていた期間は長く、相当期間、取引による損失やこれに関連する借金を自らの収入で補填できていたことからすると、債務者の不誠実性が強く認められる状況とまでは言い難い。また、共働き夫婦であったものが、2子の出産により、収入が減少し、生活費の不足を補うために借金の増大に至ったという事情もある。以上の事情からすると、裁量により、裁判所の免責許可を取得できる可能性は十分に認められると考えた。
サポートの流れ
債務者には、資産として、保険の解約返戻金が、60万円以上あったため、管財事件になる見込みであったため、管財費用の見込み額として、20万円を準備するように依頼した。
債務者は、医療関係の仕事で給与収入を得ていたほか、副業的に、美容品の販売の自営業も行っていたため、これ関する事業内容の報告書も作成した上で、裁判所に提出した。この副業については、利益も月1万円弱程度であったので、特段、問題になることはなかった。
また、裁判所に提出した銀行口座の取引履歴の内容について、裁判所に提出した財産目録に記載していない保険会社名による入出金履歴があったため事情の報告を裁判所から、求められ、債務者の家族が契約者となっている生命保険であることが判明したため、これについて、保険証券の写しを提出した。
また、債務者の借金の原因となったFX取引について、取引明細の提出を裁判所から、依頼されたため、準備して、提出した。
なお、債務者は、管財事件の進行中に、仕事の関係により、一時、県外に赴任する必要が出たため、転居の許可を申請し、認められた。債権者への報告集会や免責審尋期日などの裁判所へ出席すべき期日には、県外の赴任先から、確実に、裁判への出席予定日に出席できるように準備していただいた。
なお、管財事件の進行中に、管財人に郵送された郵便物の内容から、債務者が失念していた証券口座の残高が5万円程度あることが判明し、これについては、自由財産としては扱われなかった。実際の処理としては、債務者が、同じ金額を、管財人に支払い、管財人が、同口座の残高を放棄することで早期処理が図られた。
生命保険の解約返戻金については全額、自由財産とされ、破産財団には組入されなかった。
以上の処理結果、予納金と、5万円程度の証券口座残高相当額については、管財人の報酬に充当され、その後、異時廃止となった。
結果
上記のとおり、破産手続きは、異時廃止の決定と同時に免責許可の決定も下された。免責不許可事由は認められるものの、債務負担の経緯や、更生の可能性等を考慮の上、裁量により免責が許可されるに至ったものである。