700万円の債務について、再生手続きにより約27%の190万円に減縮した事例
ご相談前 | ご相談後 | |
借金総額700万円⇒ | 190万円 | |
50代男性 | 毎月の返済額10万円⇒ | 5.3万円 |
ご依頼の背景
借金の総額 | 700万円 |
借金の理由 | 生活費 |
借入先 | 銀行、信販、消費者金融 |
依頼者は、比較的名の通った会社の管理職で、収入も比較的高かったが、第一子の留学費用や、第二子の大学進学費用等の学費の準備が乏しかったため、高額な学費の支払いやそれに伴う生活費の不足を補うために、借金をすることになったが、予想外に、借金が増え、また、今後も、継続的に、大学の授業料等の学費の支出が必要な状況で、借金の支払いが困難となり、弁護士に相談となった。管理職として収入は、比較的高く、現在ある借金の支払いを減額できれば、支払っていける状況であったため、破産ではなく、再生手続きを希望された。
弁護士の見通し
債務者は、子供の留学や大学進学に際して、一気に費用がかかったため、一時的に借金を増やしてしまったが、現在は、学費の負担も落ち着いており、他方で、債務者の収入も安定しているため、再生手続きに基づく債務の減縮を行えば、返済は、十分に可能な状況と認められた。
サポートの流れ
債務者は、実家の田舎に、山林や、実母の居住する土地建物などの不動産が複数あり、所有名義人である実父な亡くなられていたが、相続登記未了の状況であった。そのため、相続分4分の1が債務者の資産となるため、財産目録に資産として計上し、評価額を明らかにする必要があった。しかし、不動産所在地がかなりの田舎のため、不動産業者から評価額の見積もりを取得することは困難であったため、固定資産評価額の合計額をもって評価額として、財産目録に計上し、認められた。なお、相続分4分の1であることを裁判所に明らかにするため、実父の出生から、死亡に至るまでの全戸籍を取り寄せ、これについても、裁判所に提出した。
そのほか、債務者の勤務先の退職金予定額について、裁判所に明らかにする必要があったところ、直接、勤務先から、退職金予定額の証明書を発行してもらうことは難しい状況であった。そこで、退職金規定を提出し、これをもって退職金予定額を算出することとなったが、勤務先の退職金規定は、これまでの各階級の役職(係長や課長等)の在籍期間に応じて、異なるポイント加算がなされる仕組みであったため、役職の履歴を提出し、これに基づいて、退職金の予定額を算出したところ、裁判所から、退職金予定額の疎明ができたと認められた。
上記相続分と退職金予定額の合計から自由財産に準じる99万円を控除しても、総債務額の700万円の140万円を上回る約190万円の資産を、債務者が有する状況となったため、再生計画に基づく返済予定額は、190万円となった。なお、退職金予定額は、再生手続き開始決定前に算出していた内容から、再生計画案提出時までに、3か月程度の期間が空いた結果、退職金予定額が、若干、増額となる状況であったため、再度、再生計画案提出時を基準として退職金予定額を算出し、これに基づいて、債務者の資産総額を算出し直し、これを下回らない総返済額による再生計画案の提出が必要となった。
上記の処理の結果算出された返済総額によっても、家計収支表上の繰越額によれば、返済期間の設定は、原則である3年で対応可能となるため、返済期間の設定については、3年とした。
結果
以上の対応の結果、総債務額700万円は約27%相当額の190万円に、総返済額が圧縮される形での再生計画が認可され確定した。